コワくないオカルト小説、二本立てで連載中!! 気になるお笑い芸人のオハナシも、地味に暴走しているよ!!
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 空き地には、タスク以外、誰もいなかった。
 桜も、たった一本だけだった。
 まるで、世界から取り残されたように見えた。

 怖くなった。
 もしこのまま放っておいたら、あの桜はきっと、おじさんを食べてしまったんじゃないか。
 そう思った。
 そんなことは、ありえない。でも、巨大な傘を広げたかのように咲く桜が、タスクの大きな体をスッポリ包み込んで、今にも飲み込んでしまいそうに見えたのだ。
 
 一人でアメ玉を運ぼうとして、押し潰されたアリ。
 タスクの、どこか思いつめたような目が、それを連想させた。
 独り占めしようとしてる訳じゃない。手伝ってくれる仲間が、いないのだ。

 早く助けなきゃ。そう言ったら、陸と緋芽に理由を長々と説明する羽目になる。
 だから海は、こう言った。

「……おじさんを、驚かしてやろう」
 海を先頭に、三人は垣根の隙間をくぐって、コッソリと近づいて行った。今日こそタスクおじさんをビックリさせてやろう、息を潜めて、爪先だけでソロソロと……。

 今よりもっと子供だった頃、海達はよく、叔父と『かくれんぼ』をして遊んだ。叔父は『かくれんぼ』の名人で、いつも最後まで見つからない。いつも鬼が諦めかけたところで、いきなりどこからともなく「ワッ!!」と出てくるのだ。だから、いつか仕返ししてやろうと、いつも隙を狙っている。

 ……今日こそ、おじさんを驚かしてやろう。

 海は口元に指をあて、陸と緋芽に、目配せした。足音を消し、気配を消し、じりじりと後ろから近づいて行く。

 タスクはじっと、桜の花を見上げている。まだ気づいてはいないようだが、油断はできない。叔父はまるで、背中に目がついているかのように、こちらの気配を察知するのだ。

 いよいよ、射程距離に近づいた。
 いつもなら、気配を悟られる距離だ。
 深く息を吸って、タイミングを計る距離。
 ここでいつも、気づかれるから……。

 立ち止まって、息を止めた。

 叔父はまだ、振り返らない。
 向こうもタイミングを計っているのかもしれないけれど……もしかしたらまだ、気づいてないのかもしれない。

 そうだとしたら……これは、チャンスだ。



          《今どこをさまよっているのか……人気ブログランキング

スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://ragelabel.blog47.fc2.com/tb.php/73-22d4d00d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。