コワくないオカルト小説、二本立てで連載中!! 気になるお笑い芸人のオハナシも、地味に暴走しているよ!!
公園は、思ったよりも広かった。
いつの間にかあの不快な騒音もニオイも遠くなり、ひたすら真っ直ぐ走るうち、海は知らない小道に入っていた。
後ろに、陸と緋芽の気配がないことには、とっくに気づいていた。それでも海は、二人を待つことも引き返すこともなく、走り続ける。
途中で、丸太を削っただけの看板を見た。
この先ジョギングコース〜約2km〜
背の高い常緑樹に囲まれたその道は、人一人が通れる幅だけ、ツルツルした地面がむき出しになっていた。所々に小さな花が咲いているだけで、桜の木は、もうどこにも見あたらない。
「……なんだか、向こうとは別世界だな」
水飲み場を見つけたので、少し休むことにした。天気予報によると、今日は5月初旬の陽気だそうだ。さすがに喉も渇いてきた。
「……それにしても、遅いな、アイツら」
丸太を地面に転がしただけのベンチに腰掛けて、今来た道に、二人の姿を待った。
サワサワと、風が葉や草を揺らすだけで、あとは何も、足音どころか、鳥の声や羽音すら聞こえない。
なんだかここは、あの公園に似てるな。梢に覗く空を見上げながら、海はぼんやりと、幼い頃のことを思い出していた。
いつの間にかあの不快な騒音もニオイも遠くなり、ひたすら真っ直ぐ走るうち、海は知らない小道に入っていた。
後ろに、陸と緋芽の気配がないことには、とっくに気づいていた。それでも海は、二人を待つことも引き返すこともなく、走り続ける。
途中で、丸太を削っただけの看板を見た。
この先ジョギングコース〜約2km〜
背の高い常緑樹に囲まれたその道は、人一人が通れる幅だけ、ツルツルした地面がむき出しになっていた。所々に小さな花が咲いているだけで、桜の木は、もうどこにも見あたらない。
「……なんだか、向こうとは別世界だな」
水飲み場を見つけたので、少し休むことにした。天気予報によると、今日は5月初旬の陽気だそうだ。さすがに喉も渇いてきた。
「……それにしても、遅いな、アイツら」
丸太を地面に転がしただけのベンチに腰掛けて、今来た道に、二人の姿を待った。
サワサワと、風が葉や草を揺らすだけで、あとは何も、足音どころか、鳥の声や羽音すら聞こえない。
なんだかここは、あの公園に似てるな。梢に覗く空を見上げながら、海はぼんやりと、幼い頃のことを思い出していた。
幼稚園の頃、海は遠足でプラネタリウムを見に行って、『迷子』になったことがある。でも、自分では『迷子』になった覚えは全然ない。周りが勝手に、そう言っているだけの話だ。
プラネタリウムは、市の中心街から少し外れた、大きな公園の中にあった。
プラネタリウムを見た後、海はみんなでゾロゾロ歩くのが嫌になって、こっそり行列を離れた。お弁当を食べた広場に本物のSLが飾ってあって、それがとても大きくてカッコ良かったから、また見たいと思ったのである。
SLの場所は覚えていたし、みんなと合流する方法も分かっていた。
みんなはこれから博物館へ行く。博物館の場所は知らないけど、さっきのプラネタリウムの人に言えば、連れて行ってくれる。だってどっちも同じ公園の中にあるんだから。
ちゃんと考えた上で別行動を取ったのに、後で先生に、こう言われた。
「どうしてはぐれちゃったの? 『迷子になるから、隣の子とちゃんと手をつないでなさい』って、言ったでしょう?」
先生は、勘違いをしていた。
あれは、迷子とは言わない。
海は、今でもよく覚えている。プラネタリウムとSLの広場をつないでいた、イチョウ並木を。黄色い葉っぱに覆われた道を、誰かに踏み潰された銀杏のニオイに息を止めては深呼吸し、涙目になりながら歩いたのだ。忘れようがない。
今度ここに来た時は、オレが案内してやろう。イチョウ並木の向こうにある、背の高いビルを見上げながら、そう思った。
海は『はぐれた』んじゃなくて『離れた』のに、その違いが分からないバカな大人のせいで、あれ以来、SLやイチョウを見ると、嫌な気分になる。
オレは迷子になんか、なってない。でも、海が今さらそれを説明したところで、きっと誰も信じてくれないだろう。
「子供がそこまで、考える訳がない」
たいていの大人は、そう思っているからだ。
「……あーあ。まったく、付き合ってらんねぇよ」
海は一人で、もう少し歩くことにした。
プラネタリウムは、市の中心街から少し外れた、大きな公園の中にあった。
プラネタリウムを見た後、海はみんなでゾロゾロ歩くのが嫌になって、こっそり行列を離れた。お弁当を食べた広場に本物のSLが飾ってあって、それがとても大きくてカッコ良かったから、また見たいと思ったのである。
SLの場所は覚えていたし、みんなと合流する方法も分かっていた。
みんなはこれから博物館へ行く。博物館の場所は知らないけど、さっきのプラネタリウムの人に言えば、連れて行ってくれる。だってどっちも同じ公園の中にあるんだから。
ちゃんと考えた上で別行動を取ったのに、後で先生に、こう言われた。
「どうしてはぐれちゃったの? 『迷子になるから、隣の子とちゃんと手をつないでなさい』って、言ったでしょう?」
先生は、勘違いをしていた。
あれは、迷子とは言わない。
海は、今でもよく覚えている。プラネタリウムとSLの広場をつないでいた、イチョウ並木を。黄色い葉っぱに覆われた道を、誰かに踏み潰された銀杏のニオイに息を止めては深呼吸し、涙目になりながら歩いたのだ。忘れようがない。
今度ここに来た時は、オレが案内してやろう。イチョウ並木の向こうにある、背の高いビルを見上げながら、そう思った。
海は『はぐれた』んじゃなくて『離れた』のに、その違いが分からないバカな大人のせいで、あれ以来、SLやイチョウを見ると、嫌な気分になる。
オレは迷子になんか、なってない。でも、海が今さらそれを説明したところで、きっと誰も信じてくれないだろう。
「子供がそこまで、考える訳がない」
たいていの大人は、そう思っているからだ。
「……あーあ。まったく、付き合ってらんねぇよ」
海は一人で、もう少し歩くことにした。
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