コワくないオカルト小説、二本立てで連載中!! 気になるお笑い芸人のオハナシも、地味に暴走しているよ!!
 消火器みたいな霧の中、道なき道を、標識だけを頼りに進んで行くうちに、俺もだんだん、慣れてきた。カオスのごときこの景色と、水野サンのキャラに。

「ねぇ水野サン。ここまで来て、未だに信じられないんですけど」
「何が〜? 道がないこと〜?」
「じゃなくて、マジでこんな仕事が、あるってことですよ!」

 そうは言っても、正直、どんな仕事なのか、よく分かってねぇんだけど。だって適性テストと個人面接を受けただけで、「じゃあキミの配属先はココね」だもんな。そんでたいした説明もなく、「コイツはかなりのベテランだから心配いらないよ」と水野サンを紹介され……正直かなり、心配なんですけど。

「えーと。トーマくん?」
「あ、『トーマ』でいいです」
「じゃあ、トーマ。分からないことがあったら、何でも、このボクに聞いてくれていいんだよ〜」
「……はぁ……」

 いつしか俺の心もカオスに包まれ、道なき道を走っていた……つーか、マジで、こんな人に教わって大丈夫なのか俺!? 
 とりあえず、標識代わりに、どうでもいいことを聞くことにした。

「じゃあ、水野サン。どうして制服が、ツナギなんですかね」

 水野サンは、ちょっと考えた。

「……動きやすいから?」

 やっぱりダメだ、この人は。例えば「キミのイメージではこうだろうけど、実際は……」みたいな、俺が期待するような答えは、返ってこない。いやむしろ、予想通りだ。
「……まぁ確かに、動きやすいですよね」

 しょうがないので、会社で貰ったマニュアルを開いてみた。実はまだ、1ページも読んでないのだ。

 全ての業務に於いて何より重要なことは、時間厳守と、秘密厳守である。
時間厳守
・どの業務につく者も、5分前行動を原則とする。
・不慮の事態等で以降の業務に遅延が予想される場合は、必ず本部に報告し、その指示に従うこと。
秘密厳守
・各個人の業務、及び、当社に関わる情報全てを、一切口外してはならない。
・社外だけでなく、他部署への情報漏洩も、あってはならない。


 なるほど。テキトーな会社な割には、案外マトモなことを書いている。
 でも、『中有運送は、こんな仕事を請け負う会社です』みたいな、俺が期待するような説明が、全然ない。

 ……ねぇカミサマ、一体俺は、どんな仕事をやらされるんでしょう?

 軽いノリで入ったバチが当たったのか、イメージが壊れていくだけで、俺は未だに、自分のすべきことが分からない。

 何もかもが、カオス!!
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