コワくないオカルト小説、二本立てで連載中!! 気になるお笑い芸人のオハナシも、地味に暴走しているよ!!
春日良吉、91歳。老衰のため、自宅にて死去。
広い座敷の真ん中に、その爺さんは、ふわりふわりと、漂っていた。窓際のベッドで、まだ微かに息をしている“自分”と、それを取り囲む人々を見下ろしながら。
《いやぁ……大往生なんだから、そんなに泣くこたぁないんだよ》
爺さんは一人ひとりに語りかけながら、手を握ったり、頭を撫でたり、抱きしめたり。集まってくれた家族や親戚や友人達に、別れの挨拶をするのだった。
「なんか、ホームドラマみたいっすね!!」
俺は不謹慎にも、ある種の感動すら覚えていたが、水野サンの目は冷ややかだった。
「……いやトーマ、ドラマ見てる場合じゃないから。まずデータ照合ね」
一瞬、もしかしたら仕事になるとキャラが変わるのか? と思ったが。
「タララタッタラ〜♪ ハンディ〜スキャナ〜!!」
奴は『ドラえもん』の如くポケットから道具を取り出し、ダミ声で説明を始めた。
「コレでコアのデータ照合をするんだよ〜。ココのボタン押しながら〜、わかった? のび太くん」
「……ああ、ココですね、はい……」
誰がのび太くんだよ、まったく。俺は突っ込みたいのを我慢して、ハンディースキャナ片手に、爺さんのコア(幽霊?)に近づいた。
《……まったく、一人ぐらい返事をしても良さそうなものを……》
爺さんは、誰にも声が届かないことが、不満らしかった。自分は既に肉体を離れているのに、誰もこっちを見向きもしない。ベッドに横たわる、いわば爺さんの“抜け殻”を、ある者はその手を握り、ある者は涙を浮かべ、皆祈るような面持ちで見守っているのだった。
おじいちゃん、死なないで。と。
広い座敷の真ん中に、その爺さんは、ふわりふわりと、漂っていた。窓際のベッドで、まだ微かに息をしている“自分”と、それを取り囲む人々を見下ろしながら。
《いやぁ……大往生なんだから、そんなに泣くこたぁないんだよ》
爺さんは一人ひとりに語りかけながら、手を握ったり、頭を撫でたり、抱きしめたり。集まってくれた家族や親戚や友人達に、別れの挨拶をするのだった。
「なんか、ホームドラマみたいっすね!!」
俺は不謹慎にも、ある種の感動すら覚えていたが、水野サンの目は冷ややかだった。
「……いやトーマ、ドラマ見てる場合じゃないから。まずデータ照合ね」
一瞬、もしかしたら仕事になるとキャラが変わるのか? と思ったが。
「タララタッタラ〜♪ ハンディ〜スキャナ〜!!」
奴は『ドラえもん』の如くポケットから道具を取り出し、ダミ声で説明を始めた。
「コレでコアのデータ照合をするんだよ〜。ココのボタン押しながら〜、わかった? のび太くん」
「……ああ、ココですね、はい……」
誰がのび太くんだよ、まったく。俺は突っ込みたいのを我慢して、ハンディースキャナ片手に、爺さんのコア(幽霊?)に近づいた。
《……まったく、一人ぐらい返事をしても良さそうなものを……》
爺さんは、誰にも声が届かないことが、不満らしかった。自分は既に肉体を離れているのに、誰もこっちを見向きもしない。ベッドに横たわる、いわば爺さんの“抜け殻”を、ある者はその手を握り、ある者は涙を浮かべ、皆祈るような面持ちで見守っているのだった。
おじいちゃん、死なないで。と。
《……だからもう、死んだんだよ、ワシは》
爺さんのいわば“幽霊”は、ため息をつきながら医者の顔を覗き込んだ。医者は家族の顔色を窺いながら、脈を取ったりチラチラ腕時計を見たりして、そのタイミングを計っている。
《ほら、早く言わんか、「ご臨終です」と……なぁ、おい》
「しょうがないよ、アンタの抜け殻が、まだ息してるんだから」
水野サンがいきなり爺さんに突っ込んだので、俺はかなりギョッとした。
「ちょっと水野サン、幽霊に話しかけちゃっていいんですか?」
「大丈夫だよ、聞こえないし、こっちの姿は見えてないから。
まったくもう、このじいちゃん、出てくるのが早すぎるよね!!」
「……せっかちな人なんじゃないですか?」
まったく……いちいち相手をしていたら、初仕事で『時間厳守』を破ることになりそうだ。
俺はテキパキと水野メモの手順に従い、スキャナ画面の『承認番号』を確認後、『実行』ボタンを押した。
「ご臨終です」
医者が春日良吉の死を告げたのは、『実行』ボタンを押した、その直後のことだった。
この記事へのコメント
ありがとうございます。また来てくださいね〜
http://jump.sagasu.in/goto/blog-ranking/で紹介されていたので、見に来ました。またきますネ。(^^)
2006/02/21(火) 01:28 | URL | RIN #-[ 編集]
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